本を選ぶときに迷うのは、どれが良い本かではなく、いま自分がどの悩みを抱えているかが整理できていないからです。ここで紹介する5冊は、「考え方の土台」「リーダーの役割」「現場で使う言葉」「キャリア」という、管理職と研修の担当者がつまずきやすい4つの場面にそれぞれ対応しています。先に読み分けの軸を決めてから手に取ると、積ん読になりにくくなります。
紹介するのは、当サイト運営者(益山康秀)が実際に読み、管理職や研修の仕事の中で役立ったと感じた5冊です。本の中身を要約して解説するのではなく、どんな人の、どんな場面に向くかを、運営者の一言に沿って書いていきます。
5冊をどう読み分ける?
医療・介護・福祉の現場で管理職やリーダーに求められるものは、技術的な知識(テクニカルスキル)だけではありません。状況の把握、判断、チーム内の伝達、意思決定といった、職種を問わず必要になる能力をノンテクニカルスキルと呼びます。もともとは航空や医療の安全分野で整理されてきた考え方で、近年は介護・福祉の管理職研修でも扱われることが増えています。
今回の5冊は、大きく次のように分かれます。
- 考える前の整理:そもそも何を解くのかを決める
- 型を手に入れる:思考・伝達・議論などを体系で押さえる
- 役割を考える:リーダーとして何を磨くか
- 言葉にする:現場の会話でどう切り出すか
- 自分と組織を重ねる:キャリアをどう捉えるか
5冊のうち3冊は佐藤和弘氏(日総研出版)の著作で、ノンテクニカルスキルを軸にした構成になっています。残る2冊は、思考の起点を扱う『イシューからはじめよ[改訂版]』(安宅和人/英治出版)と、キャリアを扱う『キャリア開発24の扉』(小野田博之・横山哲夫/生産性出版)です。
考え方の土台は何から固める?
『イシューからはじめよ[改訂版]— 知的生産の「シンプルな本質」』
副題にある「知的生産」は、情報を集めて整理し、答えを出すまでの一連の作業を指す言葉です。現場では、課題が山積みに見えるのに、どれから手を付ければよいか決まらない状態が起こります。会議でも、改善活動でも、やることを足していく方向に議論が流れやすい。
運営者の一言はこうです。
「色々な事を足し算で考えていた事が、『何が目的で何をしたかったのか』を熟慮した上で、頭がクリアになっていきました。」
向いているのは、改善テーマが多すぎて優先順位がつかない人、委員会や会議体をいくつも抱えている人です。決定が動き出す会議の終わり方のように、会議の出口を整える話と合わせて読むと、入口(何を論点にするか)と出口(何を決めたか)の両側が揃います。
『図解 シンプルな思考・伝達・議論・交渉・管理・教育の技術60 — はじめてのノンテクニカルスキル』
題名が示すとおり、思考・伝達・議論・交渉・管理・教育という6つの領域を図解で扱う構成です。「はじめての」と付くとおり、ノンテクニカルスキルという言葉に初めて触れる人が入口として開ける本といえます。
運営者の一言です。
「様々なロジカルシンキングを、これほど体系的にまとめて図解になっている本は唯一無二の世界でした。上司と部下、現場の同僚同士などでも実事例に合わせて活用したいフレームワークです。」
ここで言うフレームワークとは、考えや情報を当てはめて整理するための枠組みのことです。研修の担当者にとっては、現場の事例をその場で当てはめて話せる型が手元にあると、演習の組み立てが楽になります。新任リーダー向けの基礎研修や、多職種が混ざる勉強会の土台づくりに向く1冊です。
リーダーの役割と現場の言葉はどこで学ぶ?
『超図解 問題解決型リーダーになる4つのチカラ』
こちらも図解を軸にした構成で、題名から分かるとおり「問題解決型リーダー」に必要な力を4つに整理しています。リーダーに任命されたものの、自分が何を伸ばせばよいのか分からない、という段階で開く本です。
運営者の一言です。
「医療や介護ではリーダーとして何が必要か、どんな武器をみがいて臨床に臨めば良いかが非常にわかりやすくまとめられています。」
主任・副主任・チームリーダーへの昇任が決まった人、またはその人を支える立場の管理職に向きます。研修の担当者であれば、役割期待を言葉にして伝える場面——たとえば昇任前面談や、役職者研修の初回——で、共通の語彙を用意する助けになります。
『問題解決を導く決め台詞 — ノンテクニカルスキル会話編』
「会話編」とあるように、実際のやり取りで使う言葉に焦点を当てた1冊です。フレームワークを知っていても、目の前の職員にどう切り出すかで止まってしまうことがあります。
運営者の一言です。
「実際に問題を解決する際に必要な言葉が明確に表現されているので、即戦力の知恵として現場志向で良い学びになります。」
向いているのは、面談や申し送り、カンファレンスで会話が空回りしがちな人です。報告が上がってこない、意見が出ないといった悩みは、本人の意識ではなく報告が止まる地点の設計に原因があることも多く、使う言葉を変えることが入口になる場合があります。
キャリアの悩みは誰の問題として扱う?
『キャリア開発24の扉 — 組織・仕事・人・心を考える必携ガイド』
副題に「組織・仕事・人・心」とあるように、個人の働き方だけでなく、組織との関係を含めてキャリアを考える構成です。管理職は、自分のキャリアと部下のキャリアを同時に扱うことになります。
運営者の一言です。
「実際に管理職としてキャリアと向き合う中、現場での実体験とシンクロする場面や遭遇する物語に沿った形の内容が非常に良い学びになりました。」
向いているのは、面談でキャリアの話題を扱う管理職、人材育成や定着の担当者です。離職や配置転換の相談は、本人の意欲だけでは説明がつかないことが多く、定着までの段階を分けて捉える視点と併せて考えると、面談の問いが具体的になります。
研修の担当者はこの5冊をどう使う?
研修で書籍の内容を扱うときは、いくつか押さえておきたい点があります。
- 著作権への配慮:資料に本文や図を転載する場合、引用の要件(出所の明示、主従関係、必要な範囲)を満たしているか確認します。判断に迷う場合は法人の担当部署に確認してください。
- 事例を扱うときの個人情報:演習で自施設の事例を使う場合、利用者・患者が特定されない形に加工します。個人情報の保護に関する法律のほか、法人の規程や各種ガイドラインの定めに従います。
- 研修の前後をつくる:本を読んで終わりにしないためには、読後に何を試すかを決めておくことです。研修を行動に変える仕掛けの考え方は、書籍の学びにもそのまま当てはまります。
目的別の読み分けを、表にまとめます。
| 目的・場面 | 該当する本 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 何を解くかを決める(論点の整理) | イシューからはじめよ[改訂版] | 課題が多すぎて優先順位がつかない管理職 |
| 全体像を体系でつかむ | 図解 シンプルな思考・伝達・議論・交渉・管理・教育の技術60 | ノンテクニカルスキルに初めて触れる人、研修の担当者 |
| リーダーの役割を考える | 超図解 問題解決型リーダーになる4つのチカラ | 新任リーダー、昇任を控えた人 |
| 現場の会話で使う | 問題解決を導く決め台詞 | 面談やカンファレンスで切り出し方に困る人 |
| キャリアを考える・面談で扱う | キャリア開発24の扉 | 部下のキャリア相談を受ける管理職、育成担当 |
まとめ
5冊を並べると、「論点を決める」「型を知る」「役割を考える」「言葉にする」「キャリアを扱う」という流れが見えてきます。順番に読む必要はなく、いま詰まっている場所から1冊を選ぶ読み方で構いません。
読んだ内容を現場に移すときは、まず1つの場面を決めて試すのが現実的です。次のカンファレンスの切り出し方を変える、面談の問いを1つ足す、改善テーマを絞り直す——その程度の粒度から始めると、読書が業務につながりやすくなります。本の評価は人によって異なりますので、目次や試し読みで自分の悩みと合うかを確かめたうえで選んでください。
この記事で紹介した本
キャリア開発24の扉 — 組織・仕事・人・心を考える必携ガイド
Amazon で見るイシューからはじめよ[改訂版]— 知的生産の「シンプルな本質」
Amazon で見る図解 シンプルな思考・伝達・議論・交渉・管理・教育の技術60 — はじめてのノンテクニカルスキル
Amazon で見る超図解 問題解決型リーダーになる4つのチカラ
Amazon で見る問題解決を導く決め台詞 — ノンテクニカルスキル会話編
Amazon で見るこの記事は、AI で下書きを作り、益山康秀(運営者)が内容を確認して公開しています